2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱電効果スペクトロスコピーを用いたパーコレーション系熱電材料の探求
Project/Area Number |
20560310
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
森 夏樹 Oyama National College of Technology, 電気情報工学科, 教授 (60149911)
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Keywords | 熱電効果 / パーコレーション現象 / 強相関エレクトロニクス / 電子・電気材料 / 環境技術 |
Research Abstract |
平成21年度においては、主として、(1)In_2O_<3-x>-CeO_2(ICO)薄膜と(2)In_2O_<3-x>-SnO_2(ITO)薄膜を研究対象として熱電特性についての実験を行った。(1)のICOに対して、20年度は室温における熱電特性の計測を行ったが、21年度は熱電能の温度変化S(T)に主眼をおいて研究した。その結果、ICOのS(T)は、金属的特性と半導体的特性の2つを同時に有し、従って、本研究で提案している「金属-半導体混晶モデル:S(T)=AT+B/T解析(A,Bは定数)」より良く説明出来ることを明らかにした。更にΓ=B/(AT^2)と定義したパーコレーション指標ΓのCe含有率依存性が、熱電性能の指標を表す電力因子P=S^2σ(σ:電気伝導率)の同じ依存性と良く類似していることを示した。(2)のITOについては新たにスピンコート法により、シリコン単結晶基板と石英基板上に薄膜を形成することに成功した。電気的・光学的特性を計測した結果、後者の基板上に成膜した場合の方が優れた特性を示すことが分かった。熱起電力についての予備的実験では、両基板上の薄膜とも同様な結果が得られている。一方、高温超伝導多結晶バルク系では、(Pr,Cu)Sr_2(Y,Ca)Cu_2O<7-δ>系について21年度測定精度の悪かったCa置換量xが小さい試料を作製し直して、安定な計測が得られた。次に、上で述べたICOにおける「ΓとPの関係」について、以前の銅酸化物系(PrY)123、(Pr,Ag)123及びNd214について検証したところ、同様な傾向が認められた。従って、本研究で導入したΓが熱電特性を評価する新しい有用なパラメータになることが立証された。次年度において研究を予定している新たな試料に対しても適用して、熱電効果スペクトロスコピーの手法を確立することを目指している。
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Research Products
(9 results)