2008 Fiscal Year Annual Research Report
化学溶液処理によるPIT法MgB_2超伝導線材の高性能化
Project/Area Number |
20560312
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
藤井 宏樹 National Institute for Materials Science, 超伝導材料センター, 主幹研究員 (80354306)
|
Keywords | 二硼化マグネシウム / 超伝導線材 / 結晶粒間結合 / 溶液処理 / 炭素置換 / パウダー・イン・チューブ法 |
Research Abstract |
研究の目的 本研究の目的はパウダー・イン・チューブ(PIT)法で作製したMgB_2線材の臨界電流密度(J_c)特性の改善である。MgB_2粉を有機酸溶液中で処理すると、結晶粒の微細化や、溶液からの炭素置換による上部臨界磁界(B_<c2>)の向上で、J_c特性が改善されることをこれまで明らかにした。この溶液処理プロセスは種々のパラメータを含んでいるが、これらのパラメータと線材特性との相関関係を詳細に検討することにより、MgB_2の化学溶液処理がex-situ法線材のJ_c特性向上にどれほど有効かを明らかにする。 結果 20年度は更なる向上を目指すため、作製パラメータの最適化を図った。市販MgB_2粉を種々の有機酸溶液で処理したが、それらの粉末を用いて作製した線材のJ_c特性には溶液依存性が見られた。しかし、J_c特性は実用化レベルには不十分であり、更なる改善のため、B_<c2>の向上に最も有効な手法の一つである炭素置換を検討した。本手法で起こる炭素置換は、有機溶媒の粒子表面への吸着によるものであり、置換量は1%程度で微量である。即ち、特性の改善は限られる。そこで、更なる改善のため、自作の炭素置換粉MgB_<2-x>C_x(x=0.05,0.1)を用いて線材を作製、評価を行った。この粉末の使用により結晶粒間結合が弱結合化し、J_cは低下した。透過電子顕微鏡による組織観察から、溶液処理及び未処理に関わらず、炭素置換粉でのみアモルファス状の微粒子が見られ、これが弱結合化を引き起こしていると考えられる。即ち、ex-situ法において、炭素置換粉末を充填粉として使用するのは困難であり、溶液処理法と組み合わせても、J_c特性の大幅な向上は容易ではないと思われる。
|
Research Products
(3 results)