2010 Fiscal Year Annual Research Report
弾性波可視化装置を利用した高機能弾性波動伝搬解析システムの構築
Project/Area Number |
20560317
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大森 達也 千葉大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60302527)
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Keywords | 電子デバイス・機器 / 圧電応用 / 弾性波 / 計測工学 / 可視化 |
Research Abstract |
走査型高周波弾性波動可視化システムの実用化ならびに、これを用いたデバイス解析応用として、本年度は特に、高速走査時におけるサンプリング位置ずれ補正の高性能化、観察対象の傾きによる焦点ずれ補正の高度化、および、本装置による可視化結果を利用したSMR(Solidly Mounted Resonator)における損失の解析について詳細な検討を行った。 まず、高速化のための往復走査時にサンプリング点にずれが生じる問題については、前年度構築したマイクロコントローラベースの補正装置に代えて、高速動作可能なCPLDを用いることで遅れ補正の分解能を向上し、これと共にトリガパルス分周回路のファームウェア見直しも含め、結果として位置ずれ補正の大幅な改善に成功した。 次に、測定対象を高空間分解能で観測したい場合に問題となる試料の傾き補正に対して、多重走査を適用することについて検討を行った。これは、本測定装置の高速性を生かし、わずかずつ対物レンズの高さを変えながら、多数回の走査・可視化を行い、これら焦点位置が異なる可視化像を再合成することで、試料の傾きに起因する焦点ズレの影響を補正するものである。このアルゴリズムにもとづいて、3GHzで動作しているFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)の弾性振動振幅分布を位相まで含めて、明瞭に可視化することに成功した。この結果については、日本応用物理学会誌に採録されている。 これらの成果により改良した可視化装置を用いて、反共振周波数におけるSMRからの弾性波の漏洩について評価を行い、FEMによる解析結果と照合することで、損失のメカニズムについて定量的に議論することに成功した。この結果については日本応用物理学会誌に採録されている。 なお、本研究課題で構築した可視化装置の全体構成に関しては米電気電子学会論文誌に採録されている。
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