2009 Fiscal Year Annual Research Report
全方向型負性屈折率媒質と光領域スーパーレンズの創生
Project/Area Number |
20560319
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤井 雅文 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(工学), 准教授 (60361945)
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Keywords | 応用光学 / フォトニック結晶 / ナノ材料 / シミュレーション工学 / 電子デバイス・機器 |
Research Abstract |
Pendryにより2000年に発表された完全レンズの理論により、負性屈折率媒質はこれまでの光や電磁波伝搬の常識を覆す現実的な物質となりつつある。また2005年、Fangらにより、金属の誘電率が負(透磁率は正)であることを利用した、エバネッセント波(非伝搬波)に対する銀薄膜の完全レンズ効果が実証された。これにより今後、伝搬波にも有効な完全レンズの実現が期待される。これを用いると、光の回折限界以下の微小な物体を結像させることができ、原理的には対象物の完全な情報を像として再現することが可能となる。超微細リソグラフィーなど、理工学の幅広い分野におけるブレークスルーとなり、基礎研究として非常に重要である。本研究では、金属や誘電体からなる複雑な物質における電磁波伝搬の特異な振る舞いを明らかにする。これまで銀薄膜スーパーレンズの特性を解析し、さらに金属微小球体の格子状配列による負の屈折率を実現するための構造シミュレーションを行った。その結果、特定の配列形態および特定の周波数領域で負の屈折率媒体が実現可能であることを見い出し、このために必要な球体配列の条件を詳細に検討した。数値解析には、これまでに開発した並列MPI-FDTD計算プログラム、および並列クラスター計算機を用いた。本研究を通して、このような並列計算手法はFDTD解析に適しており、これまでのメモリ容量の制約が事実上解消され、大規模な解析が効率よく行える優れた手法であることを示した。
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