Research Abstract |
サブミリ波領域は,電波と赤外光との間に位置する電磁波領域で,存在する光源は,出力が微小であったり,自由電子レーザーのように装置が巨大過ぎて,利用できる場合は極限られてきた。近年,ジャイロトロンの高周波化が進み,ジャイロトロンによりサブミリ波領域の発振が得られるようになってきた。ジャイロトロンは,比較的小型の装置でありながら,強力な出力が得られ,恰好の光源として利用が拡がり,応用研究の進展に弾みがついてきた。しかし,従来のジャイロトロンでは,掃引が可能な周波数範囲は,数10MHzの領域に限られてきた。本研究の目的は,数GHzの範囲に亘って周波数を連続的に掃引できるジャイロデバイスを開発し,サブミリ波領域の有効な光源を実現することである。先ずミリ波領域において,周波数掃引できるジャイロデバイスを開発し,周波数は134Hzから6GHzに亘り連続的掃引できることが分かった。こういった先進的な周波数掃引の機能を,サブミリ波領域においても実現するため,15Tまで発生できる超伝導マグネットを用いたGytotron FU CW VIを製作し,動作試験を行ったところ,周波数は394.7GHzから1.6GHzの範囲に亘り連続的に変わることが分かった。発振出力は変動するが10W以上を確保できており,周波数掃引の機能を持つ強力な光源として,明るい展望が得られた。現在は,200MHz DNP-NMR測定及び600MHz DNP-NMR測定への応用に取りかかる準備を進めているところである。
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