2008 Fiscal Year Annual Research Report
化学堆積と光化学ドーピングによる室温動作薄膜水素センサーの作製
Project/Area Number |
20560323
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
市村 正也 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 教授 (30203110)
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Keywords | 水素センサー / 酸化スズ / 光化学堆積 |
Research Abstract |
光化学堆積法を用いて酸化スズ膜を堆積し、水素ガスセンサーを作製した。光化学堆積法では、光照射によって溶液中で酸化スズ生成反応が起き、膜はナノ微粒子の集合体となる。したがって膜は大きな実効表面積を持ち、より低い温度で高い感度が期待できる。さらに感度を高めるため、光化学堆積法を発展させた光化学ドーピング法にて触媒であるPdを添加した。Pdイオンを含む水溶液を酸化スズ膜上に滴下し、紫外線を照射することでPdイオンが還元され、結果的にPdが膜表面さらに内部にも添加される。 20年度は高感度化に重点を置き、10ppmオーダーの水素を検出可能にすることを目標とした。 ・製膜条件の確立 成長膜厚と感度に強い相関があることを見出した。膜厚0.1から0.15μmでもっとも高い感度が得られ、それ以下の膜厚では膜がほぼ絶縁的となりセンサーの機能が失われ、逆に大きな膜厚では初期状態の電流が大きく水素暴露時の電流増加が少ない。 ・アニール条件の確立 アニールは堆積膜の結晶性、組成、形態を変えることでセンサー特性に影響を与えると同時に、電極金属とのオーミック接触を形成する働きをする。窒素雰囲気中で温度を変えて熱処理をしたところ、200℃の熱処理でもっとも良好な感度と応答速度が得られることがわかった。酸素雰囲気中のアニールも試みたが、良好な感度は得られるものの応答速度は真空アニールした素子より劣っていた。 以上の実験より条件を最適化した結果、50ppmの水素導入時に、真空時と比べ電流増加率が1000倍を超えるきわめて高い感度のセンサーを得ることができた。ただ高感度化の機構解明は遅れており、今後より物理化学的な分析に力を入れる必要がある。
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