2010 Fiscal Year Annual Research Report
光化学堆積と光化学ドーピングによる室温動作薄膜水素センサーの作製
Project/Area Number |
20560323
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
市村 正也 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (30203110)
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Keywords | 水素センサー / 酸化スズ / 光化学堆積 |
Research Abstract |
光化学堆積法を用いて酸化スズ膜を堆積し、水素ガスセンサーを作製した。光化学堆積法では、光照射によって溶液中で酸化スズ生成反応が起き、膜はナノ微粒子の集合体となる。したがって膜は大きな実効表面積を持ち、より低い温度で高い感度が期待できる。さらに感度を高めるため、光化学堆積法を発展させた光化学ドーピング法にて触媒であるPdを添加した。Pdイオンを含む水溶液を酸化スズ膜上に滴下し、紫外線を照射することでPdイオンが還元され、結果的にPdが膜表面さらに内部にも添加される。 22年度はよりいっそうの高感度化、高速化を図るため、素子作製後に低圧水銀灯を用いて紫外線照射を行った。照射時の雰囲気は真空または空気中とした。いずれの場合にも10ppmオーダーの低濃度水素に対して顕著な高感度化・高速化が観測された。また、その後数ヶ月にわたって特性を繰り返し測定したが照射の効果は失われなかった。一方、アニール雰囲気を窒素から酸素に変えた場合は、低濃度水素に対する反応が劣化した。 真空中、空気中いずれにおいても紫外線照射の効果が得られることから、その効果は気体分子と酸化スズ膜表面との反応が原因ではないと推測される。さらにX線光電子分光測定を行ったが、Pdの化学結合状態など表面状態の紫外線照射による有意な変化は観察されなかった。これらのことより、紫外線照射による高感度化・高速化は酸化スズ膜内部の特性変化が原因になっていると考えられる。
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