2008 Fiscal Year Annual Research Report
導波管型準平面ホットエレクトロンボロメータの研究開発
Project/Area Number |
20560343
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
川上 彰 National Institute of Information and Communications Technology, 第一研究部門・未来ICT研究センター・ナノICTグループ, 主任研究員 (90359092)
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Keywords | HEB / NbN / TiN / エピタキシャル / テラヘルツ |
Research Abstract |
地球環境計測や電波天文学,次世代無線通信分野において,テラヘルツ帯での受信機の開発が望まれている.NbNブリッジ構造によるホットエレクトロンボロメータ(HEB)は,テラヘルツ帯で優れた受信機特性を示しているが,そのIF帯域幅は現状では3GHz程度に留まり,他のサブミリ波帯ミキサに比べて充分な値ではない.一対策としてナノサイズの極小ブリッジによるホットエレクトロンの電極への拡散が試みられているが,優れた超伝導特性を有し,かつ再現性良くナノブリッジを作製することは困難であった.そこで数十nmのブリッジ長を有するナノブリッジを,安定に作製できる準平面型エピタキシャル窒化ニオブ(NbN)-HEBを検討した.今年度は常伝導電極としてNbNと格子整合性の良い窒化チタン(TiN)を用い,全てエピタキシャル多層膜で構成するHER作製プロセスを検討,その特性評価を行った. 本研究による準平面型エピタキシャルNbN-HEBは,酸化マグネシウム(MgO)薄膜を上部及び下部常伝導TiN薄膜電極で挟み,両電極をNbNブリッジで接続する構造をしている.ここでNbNブリッジ長は両電極間のMgO膜厚により規定でき,通常のリングラフィでは困難な数十nm以下のナノブリッジを安定して作製することができる.高分解SEM観測によりブリッジ幅は約450nm,またTiN傾斜部角度θ(約25 degree)と層間MgO膜厚からブリッジ長は約25nmと見積もられた.NbNナノブリッジの転移温度を測定したところ約12.1Kの良好な超伝導特性を示した.これは素子を構成するTiN,MgO,NbN各薄膜が相互にエピタキシャル成長している結果であると考えている.今回NbNブリッジ長約25nm,幅0.3〜0.6μmにおいて,臨界電流0.2〜2.0mA,素子抵抗5〜40ΩのHEBを安定して作製できることを確認し,準平面型エピタキシャルNbN-HEB作製プロセスを確立することができた.
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Research Products
(2 results)