2009 Fiscal Year Annual Research Report
導波管型準平面ホットエレクトロンボロメータの研究開発
Project/Area Number |
20560343
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
川上 彰 National Institute of Information and Communications Technology, 未来ICT研究センター・ナノICTグルーフ, 主任研究員 (90359092)
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Keywords | HEB / NbN / エピタキシャル / テラヘルツ / ナノブリッジ |
Research Abstract |
地球環境計測や電波天文学,次世代無線通信分野においてテラヘルツ帯での受信機開発が望まれている.窒化ニオブホットエレクトロンボロメータ(NbN-HEB)は優れた極低雑音特性を報告しており,同波長帯でのミキサ素子として期待されている.しかし現状ではそのIF帯域幅は3GHz程度に留まり,他のミキサに比べて充分な値ではない.本研究はナノブリッジ作成方法を検討,ホットエレクトロンの拡散時間の短縮によるHEBのIF広帯化を目指している.既にH20年度までにブリッジ幅約450nm,ブリッジ長約25nm,転移温度約12.1KのNbNエピタキシャルナノブリッジの試作に成功,臨界電流0.2~2.0mA,素子抵抗5~40Ωのナノブリッジを安定して作製できることを確認,作製プロセスを確立した. H21年度は対向電極部に生じる寄生容量の低減を試みた.現状の準平面型ナノブリッジ構造では電極構造に起因する寄生容量成分が約50fFと大きく,これによりナノブリッジの高周波特性を劣化させることが予想される.そこで電極面積の縮小及び層間絶縁MgO薄膜の増加により,同容量を約1/10である約5fFまで低減させることを試みた.試作したナノブリッジは,電極面積をこれまでの1/5である約0.6×2μm^2まで微小化,また層間MgO膜厚を2倍(20nm)にした.結果としてブリッジ長約50nm,幅0.6μmにおいて,臨界電流約0.7mA,素子抵抗約30Ωを再現性良く作製できることを確認した.このナノブリッジ素子を2直列化することで更に高周波特性を改善させた準平面型HEBミキサを試作,880GHzにおけるミキサ雑音評価を試みたが,良好な雑音特性は得られなかった(約9000K(DSB)).寄生容量低減の不十分であったこと,電極対向面積の不均一に起因する直列化による高周波特性改善の不十分が考えられる.
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Research Products
(3 results)