2010 Fiscal Year Annual Research Report
高速移動環境におけるブロードバンド移動通信方式に関する研究
Project/Area Number |
20560355
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田野 哲 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (80378835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 大祐 京都大学, 情報学研究科, 助教 (50314258)
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Keywords | 高速フェージング / 周波数領域等化 / 高速フーリエ変換(FFT) / フェージング歪 / 並列等化 / 誤り訂正符号 / 繰り返し歪補償 |
Research Abstract |
現在、標準化が進んでいるセルラー無線方式では高速に移動するユーザー、例えば電車や車に乗車しているユーザーへの高速通信は困難である。本研究課題ではこの問題を鑑み、高速に移動するユーザーへの通信を可能にする「並列FFT (Fast Fourier Transform)等化」という新しい受信方式を前年度までに提案してきた。但し、並列FFT等化を考案した際にはQPSK (Quaternary Phase Shift Keying)変調という比較的変調多値数の少ない変調方式を対象としていた。そこで前年度に、これを多値変調へ拡張するための基礎検討を行なった後、本年度では16QAM (Quadreture Amplitude Modulation)、64QAM、256QAMにまで拡張し、更に任意の符号化率の誤り訂正符号を適用した場合の、並列FFT等化の構成法を明らかにした。以下に詳細な研究成果を記す。 基本的に並列FFT等化は、複数の等化器による並列等化処理と、それら出力の選択合成、合成後信号から送信ビットの軟判定値の算出、それに基づく誤り訂正復号、誤り訂正復号出力から生成するフェージング歪のレプリカを用いた歪補償からなる。並列FFT等化器ではこの処理を繰り返すことで復号性能を向上させる。本年度は、多値変調方式や任意の符号化率の誤り訂正を導入した際の並列FFT等化器の特性を詳細に検討した。その結果、変調方式を2^M-QAM、誤り訂正の符号化率rとした場合、実効送信ビット数M_rに基づき、並列FFT等化器における所用の等化器数や繰返し数を決定すればよいことを明らかにした。さらには、ユーザーの移動速度に対する送信可能な実効送信ビット数M_rを明らかにした。例えば、FFTサイズで正規化したドップラー周波数f_DTが0.256でも6bit/Hzの信号伝送が可能であることがわかった。即ち本研究成果により、従来、全く伝送できないと考えられた高速移動するユーザに対してもブロードバンド通信が可能になることを示した。
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