2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模非線形システムの実用的な大域的求解法に関する研究
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20560369
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山村 清隆 中央大学, 理工学部, 教授 (30182603)
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Keywords | 非線形システム / 大規模集積回路 / 非線形回路 / 回路シミュレーション / 全解探索 / SPICE / 数理計画法 / 整数計画法 |
Research Abstract |
本年度は、大規模集積回路をはじめとする非線形システムの効率的かつ実用的な大域的求解法の開発とその応用.実用化を目的として、以下のような研究を行った。1.LP縮小という新しい手法を用いた非線形回路の効率的な全解探索法を開発し、更にその改良版を提案した。この成果については応用数学の分野の国際誌Applied Mathematics and Computationで発表した。2.前述の研究により5千~5万変数規模の非線形方程式の全解探索に成功したが、これらのアルゴリズムは必ずしも初心者が簡単にインプリメントできるものではなかった。本年度は整数計画法や可分計画法を用いたプログラミングのいらない実現容易な非線形回路の全解探索法を開発し、その実用化と普及を図った。またその成果を国際誌Journal of Computational and Applied Mathematicsに論文投稿し、採録となった。3.直流動作動作点解析のための効率的な可変利得ホモトピー法を開発し、その大域的収束性を証明した。この研究については、その初期バージョンを一昨年開催された国際会議NOLTA2009で発表しているが、本年度はホモトピー関数の構造に着目した効率化手法を考案し、その計算効率を大幅に改善した。またその成果を電子情報通信学会論文誌に論文投稿し、採録となった。4.全解探索において有利となる混合方程式は定式化が困難であることに着目し、SPICEの過渡解析を用いて混合方程式を簡単に導出する方法を提案し、その有効性と実用性を飛躍的に向上させた。この成果については国際誌International Journal of Circuit Theory and Applicationに論文投稿し、採録となった。5.verilog-Aを用いた各種ホモトピー法の実装法を提案し、ホモトピー法のIP化によるアナログ設計の設計品質の向上が期待できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・数年前まではNP困難という呪縛からとても解けないと考えられていた数千~数万変数クラスの非線形方程式の全解探索に世界で初めて成功した。 ・本研究のもう一つの目標である実用性の向上については、SPICE,Verilog-Aや数理計画法のソフトウェアを用いた極めて実現容易性の高い方法を確立した。 ・可分計画法の導入など、研究の新たな局面を開いた。 ・国際的に権威ある論文誌や国際シンポジウムに多くの論文を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り、研究代表者とその大学院生を中心に、学会や産業界との連携をとりながら研究を進める。研究テーマに関しては、整数計画法や可分計画法など他分野の手法を取り入れ、これまでにない斬新かつ大胆なアプローチの研究を展開していく。また国内外の権威ある論文誌に積極的に論文を投稿する。
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Research Products
(9 results)