2009 Fiscal Year Annual Research Report
汎用回路解析プログラムの解の精度評価に関する回路理論及びグラフ理論的検討
Project/Area Number |
20560374
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西 哲生 Waseda University, 理工学術院, 教授 (40037908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 規一 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 准教授 (60284551)
中谷 祐介 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (80318807)
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Keywords | 非線形理論・回路 / 受動線形抵抗回路 / 回路構造と精度の関係 / 事前誤差予測 / 悪条件行列の生成法 / 条件数 |
Research Abstract |
本年度は以下の結果を得た。 線形抵抗回路に対する精度保証付き計算に関して、昨年度は抵抗の値がすべて正、すなわち受動抵抗回路の場合について、精度保証付き計算法を提案した。この際、回路行列のハイパードミナント性を利用している。しかし回路が一つでも能動素子を含む場合にはハイパードミナント性が崩れ、上記の結果が適用できない。しかし、これらの回路に対しての方が精度保証の必要性が高い。 本年度は、ある種の典型的な能動抵抗回路においては、ハイパードミナント行列に類似の優対角性により、昨年度の手法が拡張できることを示す。 2.線形連立方程式の精度保証付き数値計算法の良さを比較・検証する場合には、しばしば、非常にたちの悪い方程式、すなわち極端に大きな条件数の方程式を解くことによってなされる。このため、できるだけ多数の多様なたちの悪い行列の生成が望まれる。 倍長精度の計算機(以下ではこれを仮定する)で$10$進$16$桁の大きさの整数行列を生成しても、条件数は通常は高々10の16乗程度になり、これよりも遙かに大きな条件数は余程特殊な作り方をしないと実現できない。 極端に大きな条件数の生成法としてはS.Rumpによる非常に巧妙なアイディアにより整数行列の生成法があり、Matlabによる条件数の大きな行列生成の基礎となっている標準的方法である。 Rumpによる生成法の要点の一つは、実現したい条件数に応じて、非常に大きな桁(例えば50桁)の数を要素とする2次の整数行列Vの行列式|V=1となるように定めることである。本年度の成果として、上記のVを2次の行列ではなく、スカラーとしても同様に条件数の大きな行列が生成できることを示す。
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