Research Abstract |
本年度は,昨年開発したアルゴリズムを理論的に検討し,アルゴリズムの本質的な性質を明らかにした.特に,カメラレンズによる画像歪の補正を行う際の歪係数と歪誤差の関係が単峰性関数であることを明らかにした.これにより,歪係数を求める場合にしらみつぶしに係数を求めるのではなく,線形探索法である黄金分割法を利用した歪係数決定法を開発することができ,大幅に計算時間を短縮することができた.また,印刷・取り込みにおけるDCT係数の周波数による劣化の度合いを明らかにし,低周波と高周波で別々の符号を埋め込むことにより,埋め込みビット数を倍増する方法を開発した.これにより,昨年度達成できなかった20文字(160ビット)以上の埋め込みが可能となった.以上から基本的なアルゴリズムの骨子は固まったといえる.動的に変更可能な表示装置を用いたデータ埋め込み・抽出アルゴリズムの開発では,タブレットPCを用いて,これまで開発したアルゴリズムを実装・評価し,基本的な性能について評価を行った.その結果,動作に問題はないものの表示画面の反射について,何らかの考慮が必要であることが分かった.これについては,今後の課題である.JAVAおよびCプログラムの実装と評価では,Android携帯をターゲットとして,昨年までのアルゴリズムの実装・評価を行ったが,このアルゴリズムでは処理が複雑すぎることが分かった,そのため,今年度開発した高速化法などの適用を行いながら,アルゴリズムの簡易化を行うことが必要であるといえる.
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