2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560386
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村田 純一 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究院, 准教授 (60190914)
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Keywords | 多目的最適化問題 / 対話型手法 / 選好関数推定 / 社会システム / 公共サービス |
Research Abstract |
多数の目的関数を最小化する多目的最適化問題において,目的関数が複数の異なる当事者によって評価され,さらに,最適解を求めてそれを実行する意思決定者が,評価を行う当事者とは異なっている場合に,その問題を分散評価型多目的最適化問題と捉え,その解を求める方法の第一段階として評価者と意思決定者の間で簡単な通信を行う対話型の解法を開発した.ある評価者が複数の目的関数を総合して解候補の良否を判断する際には,どの目的関数値の組が良いかを判断する基準を与える関数(選好関数)が存在していると考えられる.この選好関数は通常は未知であり,それを推定するには多くの情報が必要となる.そこで,まず,2っの解候補のうちいずれを好むかという簡単な質問への回答から,選好関数の勾配のみを逐次推定する方法を考案した.次に,得られた複数評価者それぞれの選好関数の勾配推定値を用いて,複数評価者の複数目的関数を単一の目的関数に集約し,その最適解として分散評価型多目的最適化問題の解を得る方法を開発した.この研究は,バスなど社会システムにおける公共サービスの質の向上への応用を意図している.したがって,上記の質問は,アンケート調査などの形式よりも,実際に2つのサービスを評価者に経験してもらってその優劣を回答してもらう方が正確な回答が得られる,このとき,経験してもらう解候補が劣悪なものであってはならない.そこで,評価者の選好関数の勾配を逐次推定する過程において,現在までに得られた推定値に基づいて,複数評価者にとって可能な限り良好な解候補であってかっ勾配の正確な推定に有効なものを次の質問として提示する方法を考案している.この解法を,バス路線の料金,所要時間,待ち時間という3つの目的関数に基づき,3人の評価者の評価を総合して,最適なバス路線を求める簡単な例題に適用し,正しく最適解が得られることを確認した.
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