2009 Fiscal Year Annual Research Report
室温での安定動作を目指した脳深部温度無侵襲計測用マイクロ波ラジオメータシステム
Project/Area Number |
20560394
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
杉浦 敏文 Shizuoka University, 電子工学研究所, 教授 (20135239)
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Keywords | 新生児 / 低体温療法 / 脳保護 / マイクロ波 / ラジオメータ / 無侵襲 / 温度測定 / 信頼区間 |
Research Abstract |
本装置の最終目標は脳深部(5cm)の温度を約1℃の精度で無侵襲測定することである。その方法は脳内組織から自然発生する極微弱熱雑音電磁波を頭皮上に置いたアンテナで受信・増幅し、適切な温度分布回復アルゴリズムを用いて体表からの温度分布を描くものであるが、測定対象が脳の熱雑音であり極めて小さいため背景電磁雑音、熱雑音を可能な限り抑制することが必須となる。 今年度の計画は、(1)電源ラインと信号ラインの徹底的な分離による雑音軽減、(2)5周波システム制御プログラムの改良、(3)受信機切り替えスイッチの改良であった。(1)に関しては、装置本体(マイクロ波受信機、ロックインアンプ、同軸切り替え回路など)へのラインと制御・計測用コンピュータへのラインを完全に分離するとともに接地ラインを別系統にまとめた。その上でラジオメータ5台の出力ライン上にある分離トランス、ロックインアンプなどの接地ポイントを絶縁トランス寄りに移動した。(2)に関しては5台の受信機を低周波帯(1.2、1.65GHz)と高周波帯(2.3、3.0、3.6GHz)に分けて制御する方式は変更せず、それぞれの受信機を切り替える際に一度スイッチの位置を基準位置(50オーム終端)に戻すように変更した。これにより従来に比較してより安定した制御が可能となった。(3)に関しては切り替えスイッチ回路の出力段にあるコンデンサ部品を新しくするとともに回路の接地機能を再確認した。 以上の対策により従来は1.6℃前後であった装置の性能の一つの指標である温度推定信頼区間(装置の安定度を反映)を約0.7℃にまで改善することに成功した。しかしながら実測値との誤差が約2℃残った。これは使用した温度分布ファントムの安定性、測定中のアンテナ直下に付着する微細な泡等が原因と考えられる。今後は装置自体の改良ともに測定実験を行うための温度分布ファントムの改良を考える必要がある。
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Research Products
(4 results)