2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁界計測と経頭蓋磁気刺激を融合した脳機能ダイナミクス計測解析システムの開発
Project/Area Number |
20560400
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
樋脇 治 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (30264948)
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Keywords | 随意運動 / 第一次運動野 / 経頭蓋磁気刺激 |
Research Abstract |
身体の随意運動は大脳皮質の第一次運動野(M1)から末梢神経に向けて伝達される運動指令がダイナミックに制御されることにより遂行される。本研究では、随意運動中にM1に対して経頭蓋磁気刺激(TMS)を行なうことにより随意運動の制御系に対して外乱を与え、その応答を解析することにより随意運動の制御システムについて検討を行なった。 手指の随意運動において、M1へのTMSを行った時の手指の運動の応答について実験を行いモデルシミュレーションにより随意運動メカニズムについて解析を行った。被験者の示指の伸展方向に力覚デバイスにより一定の負荷を加えながらM1にTMSを行い、刺激後の示指の先端の運動軌道を計測した。その結果、TMS直後に示指の先端は屈曲方向に変位し、その後、一旦TMSを行った時点よりも伸展方向に変位した後もとの位置にもどった。このM1のTMS後の示指の軌道について、示指のダイナミクスへの感覚情報のフィードバックをTMSにより一時的に遮断するモデルを構築しシミュレーションを行った。シミュレーション結果は、実験で得られた示指の軌道と一致することが確認され、モデルの妥当性が示された。また、手指の二点間到達運動中に随意運動を停止しようとしたときの運動抑制に関する中枢神経系での制御について検討を行なった。まず、運動中に停止信号を呈示したときの手指の軌道を計測した。次に、停止信号と同時に一次運動野(M1)への経頭蓋磁気刺激(TMS)を行ったときの手指の軌道を計測した。その結果、運動抑制が可能な時間遅れでの停止信号呈示と同時にM1のTMSを行うと運動停止動作が妨げられ、指先の移動距離は有意に長くなることが見出された。この結果により、M1がTMSにより停止信号呈示と同時に刺激されると補足運動野や運動前野等からM1に入力される運動抑制信号がTMSにより阻害されることが示唆された。
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