2008 Fiscal Year Annual Research Report
多次元生体信号計測による視覚パターンが覚醒状態に及ぼす影響の客観的評価
Project/Area Number |
20560406
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
吉田 久 Kinki University, 生物理工学部, 准教授 (50278735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小濱 剛 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (90295577)
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Keywords | 脳波 / 循環器系 / 視覚パターン / 覚醒維持 / 多次元生体信号 / 時間-周波数解析 / 視覚的注意 / 固視微動 |
Research Abstract |
「眠気に抗した覚醒維持状態」における生体の生理反応はあまり知られていない。しかし、単調作業を強いられる職場やドライバーなどの様々な場面において、こうした状態における生理反応を定量的に評価することは有意義であり、安全や作業効率の向上に繋がると考えられる。そこで本研究では「眠気に抗した覚醒維持状態」を中心に、その生理反応を定量的に評価、解析すること、ならびに解析法に関する研究を主な目的としている。初年度である平成21年度は第一に、眠気に抗して覚醒維持を課した状態の生理反応に関する基礎的な検討を行った。視覚ターゲットを左右に一定時間間隔で動かし、被験者にそれを追従させる実験を行い、眠気を誘発する実験を行った。このとき、脳波、心拍変動、血圧変動、脈派容積変動(末梢血管抵抗)、ならびに眼球運動(EOG)を同時に測定した。実験の結果、少数のデータではあるが、覚醒維持状態と覚醒状態(コントロール)および自然入眠状態における循環器系の制御状態に明らかな違いがあることを見出した。第2に、覚醒の維持に寄与しうる視覚パターンの性質を検討することを目的として、視覚パターンへの注意の集中が眼球運動にもたらす影響の定量的評価を試みた。一箇所を集中的に注視している状態と周辺に気が散っている状態のそれぞれにおいて、不随意性の微小な眼球運動(固視微動)を計測し分析を行った。その結果、断続的に生じる小振幅の跳躍運動(マイクロサッカード)の発生頻度や、低周波雑音成分(ドリフト眼球運動)の周波数特性などから、注視対象への注意の集中度合いが推定できる可能性が示唆された。第3に、脳波に混入する眼球運動や瞬目によるアーチファクトを除去するための方法として、加算平均法と独立成分分析による除去法に関する検討を行った。その結果、独立成分法を適用する際、必ずしもアーチファクトだけを除去できない可能性があることが示唆された。
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Research Products
(11 results)