2009 Fiscal Year Annual Research Report
多次元生体信号計測による視覚パターンが覚醒状態に及ぼす影響の客観的評価
Project/Area Number |
20560406
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
吉田 久 Kinki University, 生物理工学部, 准教授 (50278735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小濱 剛 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (90295577)
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Keywords | 脳波 / 多次元生体信号解析 / 視覚的注意 / 循環器系 / 多次元自己回帰モデル / 覚醒維持状態 / 視覚パターン / システム同定 |
Research Abstract |
本研究では「眠気に抗した覚醒維持状態」を中心に、その生理反応を定量的に評価、解析すること、ならびに解析法に関する研究を主な目的としている。平成21年度は、平成20年度に引き続き、眠気に逆らい覚醒維持の努力を課した状態において、心拍変動、血圧変動、脈波容積変動(末梢血管抵抗)、呼吸、瞳孔径、眼球運動、そして脳波という多次元生体信号を同時計測する実験を行い、このときの自律神経系の状態変化を追跡した。今回、解析方法として多次元自己回帰モデルを導入し、そのシステムパラメータを同定することで状態変化を解析した。現状では、心拍-血圧、血圧-脈波容積変動、脈波容積変動-心拍変動という2変量のモデルを対象とした。その結果、通常の傾眠時との違いをシステムインパルス応答の違いとして捉えられることを示した。しかしながら、これらの観測信号は互いに関連しており、2変量を対象とした解析では謝った結果をもたらす可能性がある。そこで、今後3変量のモデルに拡張することが必要であろう。さらに呼吸変動を加えた4変量の循環器モデルへと拡張して解析を行うことも視野に入れる。また、覚醒の維持に寄与しうる視覚パターンの性質を検討することを目的として、視覚パターンへの注意の集中が眼球運動にもたらす影響の定量的評価を試みた。注視が注視位置に集中している場合と、周辺視野に分散されている場合の眼球運動を計測し、統計モデルを用いた揺らぎの特性の解析を行った。その結果、注意が分散している場合は、不随意性の微小な視線のジャンプとして観測されるヤイクロサッカードの発生直後に、比較的大きな揺らぎが生じていることが示された。覚醒水準の低下によって、持続的な注意の集中が阻害されると予想されることから、今後は、この知見を基にした覚醒維持状態の客観的評価の可能性も検討していく予定である。
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Research Products
(19 results)