2010 Fiscal Year Annual Research Report
多次元生体信号計測による視覚パターンが覚醒状態に及ぼす影響の客観的評価
Project/Area Number |
20560406
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
吉田 久 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (50278735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小濱 剛 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (90295577)
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Keywords | 脳波 / 心拍変動 / 多次元生体信号解析 / 覚醒維持状態 / 血圧変動 / システム同定 / スペクトル解析 / 適応フィルタ |
Research Abstract |
本研究は「眠気に抗した覚醒維持状態」を中心に、その生理反応を定量的に評価、解析すること、ならびに解析法に関する研究を主な目的としている。平成22年度もこれまでと同様に、眠気に逆らい覚醒維持の努力を課した状態において、心拍変動、血圧変動、規準化脈波容積変動(NPV)、呼吸、眼球運動ならびに眼電図、そして脳波の同時計測する実験を行い、このときの自律神経系の状態変化を追跡した。これらの多次元生体信号を解析するために、昨年は2変量の自己回帰モデルを導入し、そのシステムパラメータを同定することで状態変化を解析した。本年は、3変量以上の自己回帰モデルに拡張する予定であったが、多変量モデルの推定が安定して行えなかったため、一旦、周波数領域におけるモデル同定を試みた。具体的には自律神経系の制御を受ける循環器系の周波数特性を詳細に解析する目的で、心拍変動、血圧変動、NPVのスペクトル解析を詳細に行った。その結果、覚醒維持状態および自然入眠状態のいずれの場合でも、心拍変動と収縮期血圧変動には呼吸性変動成分に対応するピーク(約0.2Hzから0.3Hz)が存在するが、心拍変動においては前者のパワーが後者のパワーを大きく上回っていることが示された。また、覚醒維持状態における低周波帯域にはメイヤー波に相当する0.1Hzのパワーが心拍変動、収縮期血圧ならびに拡張期血圧変動において顕在化しており、覚醒維持状態における特徴的な点であることや、自然入眠状態においては、心拍変動、血圧、NPV共にメイヤー波に対応するパワーは存在しないことが明らかになった。この結果を元に次年度は、多次元自己回帰モデルの推定法についても検討する。さらに、平成20年度に行ったアーチファクト除去法(加算平均法と独立成分分析法)に加えて、EOG信号を参照信号とする適応フィルタによるアーチファクト除去も試み、良好な結果を得た。
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Research Products
(14 results)