| Research Abstract |
制御システムの解析と設計では,種々の制御問題を記述する方程式表現・不等式表現が整備され,理論的に厳密に扱えるクラスは大きく広がった.しかし,確定的アプローチを取る限り,問題が内包するNP困難性を回避できないため,解くべき問題の複雑さに対応して必要な計算量も急激に増加し,現実的には小規模な問題しか扱えない.確率的アプローチとは,理論的な厳密性を確率的な意味で再定式化し,精度保証のあるランダマイズドアルゴリズムや有限個のデータに基づく確率的解析法により,この困難性を回避して,複雑な制御問題に対する実用的な解析・設計手法を与えるものである.本研究では
1.確率的アプローチの構築:(a)ロバスト最適化,(b)確率確定混合アプローチ,(c)確率的双対性
2.確率的アプローチの応用:(d)実用的な制御系設計,(e)モデル集合解析,(f)同定と制御の統合を取り上げ,適用範囲の広いランダマイズドアルゴリズムや確率的解析法の開発,実用的な制御系設計問題に対する適用法の検討などを通して,確率的アプローチの体系化を目指している.平成21年度(計画2年目)は,まず(a)に関しては,ロバスト最適化を可能とする確率的切除平面法について,雑誌論文をまとめ,関連する研究発表を行った.また,(c)(d)についても,ロバスト制御問題を記述するパラメータ依存線形行列不等式の確率的可解問題における双対問題の構成を明らかにするとともに,システム同定を援用したダイナミカルシステムの故障診断への応用に関する基礎的検討を行い,研究発表を行った.
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