Research Abstract |
平成20年度は,鉄筋コンクリート構造物に発生したひび割れが,構造物の劣化に及ぼす影響の基礎資料を収集することを目的として,ひび割れ導入時期およびひび割れ幅を主な実験要因として,中性化の進行に及ぼす影響を検討した。なお,コンクリートの配合は,何れも普通コンクリートおよび高炉セメントコンクリートである。 ひび割れ導入時期の影響:ひび割れ導入時期は打設後1日,4日,7日とし,ひび割れ幅は0.2mmとした,打設後の供試体は封絨養生し24時間後に脱型,脱型後の養生は「20℃水中養生」と「こも巻きによる湿潤養生7日の後屋外暴露」の2種類とし,それぞれ期間を28日とした。28日養生の後,中性化促進試験をJISA1153に準拠して行った。中性化促進後,健全部およびひび割れからの中性化の進行を計測した結果,ひび割れからの中性化の進行は,何れのケースも殆ど確認できなかった。特に,材齢1日でひび割れを導入した場合,未水和セメントの水和反応により,若干ではあるが,ひび割れが水和生成物で埋められ,ひび割れ内部の中性化の進行も抑制されていた。 ひび割れ幅と乾湿繰り返しの影響:ひび割れ幅を0.1mm,0.2mm,0.5mmの3種類とし,乾湿繰り返し条件を,中性化促進6日(JISA1153準拠),水中1日として,促進中性化試験を行った。試験の結果,この場合においても,健全部からの中性化進行は確認できるが,ひび割れからの中性化進行は何れのケースも殆ど確認できなかった。 以上の実験結果より,ひび割れからの中性化進行機構を理解するためには,ひび割れ内部の二酸化炭素濃度および水分量を計測する必要があることが分かり,来年度以降,これらを検討していく予定である。
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