2010 Fiscal Year Annual Research Report
ひび割れがコンクリート構造物の劣化に及ぼす影響のリスク論的評価と維持管理計画
Project/Area Number |
20560429
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 次男 東京大学, 生産技術研究所, 技術専門員 (10466849)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 佳孝 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80272516)
|
Keywords | ひび割れ / 中性化 / 維持管理 |
Research Abstract |
平成22年度は,平成20年度および21年度の実験結果に基づき,乾湿繰返し条件を設定し,再度,ひび割れからの中性化が進行する条件を明かとすることを目的とした.具体的な実験条件は,1日水中13日促進(CO_2濃度5%,R.H.40および60%),1日水中20日促進(CO_2濃度5%,RH.60%)・1日水中27日促進(CO_2濃度5%,R.H.60%),および参考として連続促進環境とした.ひび割れ幅は何れの場合も0.5mmとし,普通コンクリートと近年環境負荷低減の観点から利用の促進が図られている高炉セメントB種を用いたコンクリートの2種類とした。実験の結果,何れの場合もひび割れからの中性進行が確認され,促進環境が長く促進時の相対湿度が低いほど,中性化が進行することが明らかとなった.最も促進期間の長い1日水中27日促進環境の場合,連続促進環境と概ね同等の中性化進行となっていた.最も促進期間の短い1日水中13日促進では,連続促進に対して6割から7割程度の進行速度となっており,乾燥環境および材料に依らず概ね同じ傾向を示していた.本研究では中性化を促進環境で実施していること,ひび割れから浸透しやすくするために許容ひび割れ幅以上のひび割れ幅を設定しているため,単純に実構造物での現象に当てはめることは難しいが,気象庁等のデータを参照すると,最近の10年間の東京における降雨日数は1mm以上が100日程度,10mm以上が50日程度であり,降雨が直接ふれる構造面では平均して3日~7日に1回の水分の供給があることになる.加えて,CO_2濃度は促進環境に比べて非常に低濃度であることを考慮すれば,ひび割れが鉄筋まで到達していないような場合は,中性化の進行に関してひび割れの存在を考慮する必要は特段無いと思われる
|