2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射性廃棄物処分施設における人工バリアの性能低下に関する実験的研究
Project/Area Number |
20560430
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大即 信明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40211106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 豪 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (90452010)
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Keywords | Ca溶脱 / 浸漬法 / 電気的手法 / 細孔径分布 / ビッカース硬度 / 水酸化カルシウム / エトリンガイト |
Research Abstract |
セメント系材料の長期に亘る変質において,水和物の溶脱および物質移動抵抗性指標としての拡散係数の評価が重要になると考えられる.そのため,電気的手法による物性取得の妥当性を示すことが期待される.本年度は,昨年度に引き続き申請書目的(1)で検討した長期健全性評価手法において初年度課題として挙がった,電流密度がセメント系材料の変質および空隙構造におよぼす影響を検討することを主眼とし,電気的手法を用いた場合の溶脱現象を把握すること,溶脱後の物性取得に対する妥当性の検証を行うことを目的とした.その結果,電気的手法による溶脱後の変質に関して,空隙構造と拡散係数を取得および評価することができた.また,溶脱後の空隙率と拡散係数の関係に関して,既往の解析モデルを用いた検討を行い,電気的手法における溶脱特性を把握し,電気的手法の実用性を示す上で重要な成果を得た.特に,1)Ca(OH)_2の消失およびC-S-Hの変質が進行したセメント系材料の物性の取得に関して,電気的促進試験は非常に有効であること,2)全累積空隙量が150~200mm^3/g程度,空隙率が25~30%程度の範囲で,拡散係数が著しく増加すること,および3)電気的手法を適用することにより,モルタル試験体の長期に亘る溶脱現象に伴う変質を短期間で再現した場合に得られる拡散係数は,既往の空隙率によりモデル化された拡散係数と一致することが確認された. 今後,長期に亘るセメント系材料の健全性評価手法として,広く電気的Ca溶脱促進試験を用いるためには,低水セメント比および低砂セメント比の材料における取り扱いが課題であると考えられる.
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