Research Abstract |
当該年度においては,我が国における実際の交通荷重条件に即した配合設計供試体の作製要領の策定,および配合したアスコンの物性値の定量化と構造設計への適用について主に検討した。供試体作製要領の検討では,ニーディング効果を有するジャイレトリーコンパクタ(GC)を使用して,我が国における気象条件(舗装温度)と実際の交通荷重に即したGCの具体的な締固め仕様を策定した。過去に国道や空港の舗装で運用実績のあるアスファルト混合物を,同等の骨材ソースとアスファルトを使って再現し,GCによる締固め曲線と実舗装の密度データを比較することにより,設計期間に達した場合の締固めエネルギに相当するGCの旋回数を具体的に決定した。その結果,配合設計における妥当なGCの旋回数Ndesとして105回を選定した。そして,実舗装における空隙率,骨材間隙率,飽和度の要求性能と比較しながら,この条件で作製したアスコンの力学特性を評価し,先進諸外国の実状も考慮して妥当性を確認した。 配合設計で注目すべきアスコン性能の主要物性値は,破壊に達するまでの引張ひずみとせん断ひずみである。また上記のとおり,アスコン供試体の作製にGCを使うことから,評価試験ではその供試体を活用することが前提条件となる。構造設計でのアスコン物性の入力値としては,力と変形の関係を表現するスティフネスが有用である。さらに,これらの特性値の評価方法は実務的なものが望ましい。そのため,アスコンの物性評価法として,比較的容易な試験によって破壊時ひずみとスティフネスを導出する手法について検討した。具体的には,GCで作製した円柱供試体を用いて間接引張試験と一軸圧縮試験を行い,その試験データから引張および圧縮に対する破壊時の引張ひずみとせん断ひずみ,およびスティフネスを解析的に導出した。その結果,精度改善の余地はあるものの,ここでの方法の妥当性を確認した。
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