2010 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー吸収型落石防護柵の性能実証試験法と設計法の確立に関する研究
Project/Area Number |
20560440
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
前川 幸次 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (00124024)
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Keywords | 落石 / 落石防護柵 / 性能認証 / シミュレーション解析 / LS-DYNA |
Research Abstract |
わが国のエネルギー吸収型落石防護柵の性能評価は,各メーカー独自の性能実証試験により行われており,実験に用いる。重錘,すなわち落石の特性(質量・形状・速度等)は重錘の運動エネルギーにのみ着目して決められそいる。本研究の目的は,過去の性能実証試験および設計書の収集・整理を行い,それらをキャリブレーション値としてLS-DYNAによるシミュレーション技術を確立し,解析によりエネルギー吸収型落石防護柵の性能評価に落石の特性が影響することを明らかにすることである。 本年度は,高エネルギー吸収型落石防護柵について,EOTA(欧州技術認証機構)で規定されている多面体型重錘を用いた実斜面上の落下衝突実験に参画する機会を得た。この実験により重錘の形状,質量,速度および衝突方向と回転の影響について検討するためのデータを計測し,これらのデータによりシミュレーション技術のさらなる向上ができた。さらに,ワイヤーロープの緩衝装置の性能,すなわちエネルギー吸収量のデータから,落石防護柵のエネルギー吸収性能の評価時に各構成部材の性能の累加則を適用することは不適切であることが確認できた。 一方,わが国における落石防護柵の性能実証試験の現状について13社16製品についてアンケート調査結果をとりまとめるのと同時に欧州型の認証制度の導入についての回答を土木学会学術講演会にて公表した。認証制度の導入については,安全で公正な性能認証が必要という意味では前向きであるが,認証コストが高額になることへの懸念が伺えた。これに対しては,本研究で完成したシミュレーション手法は特殊な機構を有する製品に対しては完全ではないが,性能認証試験でのリスク(失敗による高コスト化)を避けるツールとして利用することができる。
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Research Products
(3 results)