2010 Fiscal Year Annual Research Report
地震による大規模斜面崩壊のメカニズムの解明と対策工の提案
Project/Area Number |
20560458
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鵜飼 恵三 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60018827)
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Keywords | 地震 / 斜面崩壊 / メカニズム / 実験 / 数値解析 |
Research Abstract |
2004年新潟県中越地震で旧山古志村尼谷地地区で発生した大規模地すべりについて前回は地すべり直後の地形を残す地すべり地下端の地表面から不撹乱土試料を採取して繰り返し振動三軸試験を行ったが、今回は想定すべり面付近から不撹乱土を採取して試験を実施した。大きな地震動に起因して風化泥岩内に大きな間隙水圧が発生し,地すべり斜面の安全率が1より大幅に低下し大崩壊に至ったことを証明した。 2008年5月に中国四川地震のとき発生した岩屑なだれについて、大型の模型実験を前年度に行った。この実験結果の分析と考察を行った。実験の結果、堆積した土砂と岩石は堆積部Iと堆積部IIに分類された。堆積部Iでは土砂や岩石が少し山なりになって連続的に堆積しており,一方堆積部IIでは土砂はほとんど見られず,岩石のみから構成され,岩石はバラバラに散乱して不連続であった。堆積部Iの重心の移動速度と移動距離を予測するために,力のつりあいとエネルギーに基づく簡単な式を導いた.この式の計算値を上部急斜面における土砂先頭部の移動速度に関するビデオ計測結果と比較したところ,両者の傾向と値は概ね一致した。堆積部IIの角石大の最大到達距離とその分布は,それらを独立に落下させた結果とほぼ同じになった.これより後者の落石実験結果から堆積部IIの角石大の最大到達距離とその分布を予測しうる可能性が示唆された。この大型模型実験では、長距離に及ぶ到達距離のメカニズムを解明することができなかった。そのため、小型模型実験装置を作成し、パラメータ値を変えた多数の試験を行った。この結果、到達距離と斜面下部の勾配との間に密接な関係があり、この勾配を急にすることで長い到達距離を再現できることを証明した。 インドネシアジャワ島西部で発生した岩屑なだれの崩壊前の状況,崩壊のプロセス,崩壊後の状況を時系列的に3次元ヴァーチャルリアリティ(3D-VR)として表現することに成功した。これがあるとメカニズムの解明や事後対策法を考えるのに有効であり,住民説明にも使用できることを示した
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