2008 Fiscal Year Annual Research Report
礫床河川における樹林化砂州と低水路の一体的な管理手法に向けた基礎研究
Project/Area Number |
20560471
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
清水 義彦 Gunma University, 大学院・工学研究科, 准教授 (70178995)
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Keywords | 河道内樹林化 / 低水路管理 / 砂州の掘削 / ハリエンジュ / 河床変動 / 河床材料 |
Research Abstract |
樹林化が進んだ利根川水系渡良瀬川および神流川の礫床区間において,平成19年9月台風9号出水が河川地形および河道内樹林地に与えた影響を現地調査,資料解析,数値解析から評価した.すなわち,神流川ではH18年に国土交通省が実施したレーザー計測データおよび航空写真を用いて,樹林地の破壊(樹木流失,倒木)率,破壊箇所と平面2次元流解析から求めた水理量から,その破壊規模と水理量との対応を明らかにした.また,神流川においては低水路および旧河道周辺で樹林地に与えた撹乱が目立ち,それらの平面的配置を考慮した砂州の切り下げ部や掘削部を設けることで,樹林地に洪水撹乱が与えられ,樹木繁茂を抑制できる可能性を指摘した.一方,渡良瀬川においては,出水前に設けた樹林化中州の掘削流路に台風9号出水を導くことができ,砂州内で顕著な河道撹乱が誘発された.出水前後の調査から河床変動,河床材料特性の変化を求め,掘削路内で河床低下,河岸侵食が生じ,流砂運動が活発化して,その一部は掘削部下流端を通じて低水路に供給されたことが求められた.こうした状況は平面2次元流計算および混合粒径モデルを用いた河床変動解析からも検証した.さらに掘削流路の設置によって水衝部付近の流速緩和と縦断的な水位低下も認められた.掘削路において顕著な河床変動が生じたこと,また低水路においてはほとんど河床変動が生じなかったことは中州と低水路との河床材料の違いにあるためで,細粒材料が卓越する樹林化砂州の表層での河床変動を,掘削路によって誘発させることで.樹林化抑制対策の有効な手段の1つとなり得ることを,現地観測,数値解析から実証的に明らかにした.
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