2008 Fiscal Year Annual Research Report
海岸・海洋構造物連結目地内における流体共振特性の体系化-実海象条件への拡張-
Project/Area Number |
20560473
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
斎藤 武久 Kanazawa University, 環境デザイン学系, 准教授 (40242531)
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Keywords | ケーソン式海岸構造物 / 大型浮体 / 連結目地 / 微小間隙 / 流体共振 |
Research Abstract |
本年度は,以下の2点に関して研究を実施し,次のような研究成果および今後の検討課題を得ている.(1)ケーソン護岸およびケーソン防波堤連結目地内での流体共振特性に及ぼす入射角の影響評価 ケーソン式海岸構造物連結目地への直交入射の場合に得られている流体共振特性を基礎に研究を発展させ,実際の海象条件で重要な要素となる波向きに着目し,入射角の変化が目地内の流体共振特性に及ぼす影響を実験的および理論的に考究した.実験には,平面水槽を用い,規則波を対象として,目地内の共振特性を整理した.理論解析では,入射角の影響を考慮できない既往の研究例に,座標変換を導入して入射角の影響を取り込むことに成功している.実験結果および理論解析結果から,目地内で流体共振が顕著となる場合の入射波周期および波高増幅率は,対象とした実験条件の範囲で,入射角によらずほぼ一定であり,直交入射の場合とほぼ等しくなることが明らかになった. (2)エネルギー損失効果を考慮した大型浮体要素間微小間隙内での流体共振発生条件の誘導 大型浮体を構成する2つの矩形浮体要素間微小間隙内での流体共振発生条件に関する理論解の精度向上を目的に,摩擦損失効果および局所的な形状損失によるエネルギー損失効果の影響を理論解析に取り込み,間隙内での流体共振発生条件を新たに誘導した.さらに,新たに誘導された理論解を用いて実験結果を整理し,提示した理論解の有効性について検討した.結果として,局所的な形状損失効果を導入することにより,共振発生条件の精度が良好に改善できることが明らかになった.ただし,間隙幅が広い範囲では,必ずしも十分な精度の改善には至っていない.この点に関しては,共振発生時における透過波の存在などを含めた理論展開による検討を次年度実施する予定である.
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