2009 Fiscal Year Annual Research Report
海洋観測レーダ・波浪推算結合による高精度・多次元海岸情報データベースの研究
Project/Area Number |
20560475
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小林 智尚 Gifu University, 大学院・工学研究科, 教授 (50205473)
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Keywords | 海洋観測レーダ / 波浪推算 / 最大波高 / 局地気象モデル / GPVデータ / 波浪方向スペクトル |
Research Abstract |
本研究では海洋観測レーダ等を用いてより高精度な波浪推算を行うとともに,様々な有益な情報も網羅した波浪情報のデータベースの構築を目的としている.通常,波浪推算モデルによって得られる情報は,有義波高や有義波周期などであるが,本研究ではヨーロッパ中期気象予報センター(ECMWF)の全球気象再解析データERA-40を局地気象予報モデルMM5を用いてさらに高解像度化した海上風データを用いて,本年度は新たに最大波高を推定する技術の開発を行った. 最大波高の推定にはFreak Waveに関する理論に基づく森ら(2008)の理論を元にした.ただしこの理論では理想的な方向スペクトルを有する波浪のみを対象としているため,本研究では任意の方向スペクトルを有する現地波浪にも適用できるよう,拡張した.そしてそれを第三世代波浪推算モデルSWANに組み込み,有義波高同様,任意の地点での最大波高を推定できるようにした. 上記理論を組み込んだ波浪推算モデルを用い,現地波浪場において適切な最大波高が推定できるか検討を行った.対象は,富山湾高波災害が発生した2008年2月20日から25日までの日本海とした.その結果,気象庁GPVデータによる海上風ではなく,さらに局地気象モデルMM5にて解析した海上風データを用いた方が有義波高などの推算結果は現地の観測結果をよりよく再現していた.また,富山県沿岸では1時間最大波高は有義波高の約1.7から1.8倍となっており,波浪の方向集中度によって変化していた.さらに推算された最大波高を直江津にて観測された最大波高と比較し,推算結果の再現性が高いことを示すことができた. 以上より,高い精度を有する最大波高が推定可能となった.
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