Research Abstract |
平成21年も,日本各地で甚大な水災が生じており,兵庫県佐用町河川災害,山口・防府豪雨災害では,多くの方が亡くなっている.水災に対しては,治水対策の構築・検証や住民の危機意識の涵養につながるハザードマップの作成・配布・活用が重要であり,その水理学的情報を与える氾濫解析は非常に重要なツールとなる.氾濫解析には,更なる精度向上と共に解析の簡便さの検討が熱望されている.そこで,本研究では,簡便であり,かつ高精度な解析を実施するために,格子内の地盤高特性を考慮した氾濫解析法について検討している. 本年度は,主に,「(1)下水道モデルを考慮したh-VA氾濫解析法」「(2)下水道モデルを考慮したh-VA氾濫解析法のネスティングモデルの構築」を研究課題として挙げていた.都市域では,雨水排除を下水道システムに頼っていることから,都市氾濫を検討する場合には,解析モデルに雨水排水を担う下水道の解析モデルを考慮する必要がある. 本研究において,下水道解析を考慮したh-VA氾濫解析モデルが構築され,解析において格子内地盤高を考慮していることから,50mの実用的な格子幅に対する解析であっても精度良く浸水現象を表現することができ,さらに,計算時間の観点からも本解析モデルは有益であることが示された.また,開発された解析モデルにネスティングモデルを組み込むことで,都市域の広域な計算領域と詳細な区域を取り上げた計算領域の浸水現象を連結して解析するモデルも構築できた.
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