2008 Fiscal Year Annual Research Report
粒度分布データを最大限に活用した構成由来毎の底泥輸送範囲の推定手法に関する研究
Project/Area Number |
20560483
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
岡田 知也 National Institute for Land and Infrastructure Management, 沿岸海洋研究部, 主任研究官 (80304749)
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Keywords | 底泥 / 底泥輸送 / 粒度分布 / 有機物 / 東京湾 |
Research Abstract |
本研究は,富栄養化した海域において,粒度分布データが有する情報量を最大限に活用し,新たな底泥の分析手法の提案,底泥の輸送および分布範囲を推定する手法を検討することを目的とする.本年度は,その第1ステップとして,試料の分析を実施し,底泥の平面分布の特徴の把握を行った.対象海域は東京湾(71地点)および京浜運河(横浜-川崎)(164地点)とした.粒度分布の測定にはレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いた.京浜運河の底泥に対しては,過酸化水素水で有機物成分を除去した底泥に対しても粒度分布を測定した. エントロピー法により東京湾の71地点の底泥はそれぞれ特徴ある粒度分布を持つ6つのグループに分割され,新しい東京湾の底泥分布図が作成された.その結果,これまでシルトと分類されていた湾奥から湾央にかけての広域の底泥は,粒度分布のモード情報に着目すると,シルトのモードと同程度の大きさの極細砂のモードを含む底泥だったことが明らかとなった.この極細砂のモードの有無の情報は,底生生物の生息条件や魚類の巣穴条件を考慮する際に極めて重要である.これらのモード情報は,これまでの統計値(例えば,中央粒径)による評価では見落とされていた点であり,これらの情報を失うことなく容易に取り込める点が,本手法の最大の利点である. 京浜運河の様に強熱減量が10%以上である底泥は数10%の有機物を含むため,鉱物本来の粒度分布を得るためには有機物成分を除去する必要がある.過酸化水素水を用いて有機物を除去すると,シルト成分のモードが減少し,相対的に砂のモードが明瞭となった.この砂のモード情報を保有した底泥の平面分布は,砂成分の由来の違いを示し,また底泥の輸送範囲を検討する際の基礎情報となる.来年度以降は,この砂のモード情報に化学組成等の別の指標を導入し,輸送範囲の推定を実施する予定である.
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Research Products
(1 results)