2010 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地域のソーシャルキャピタルとしての協働型コミュニティバス運行システムの育成
Project/Area Number |
20560493
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
出口 近士 宮崎大学, 工学部, 准教授 (70117175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉武 哲信 宮崎大学, 工学部, 准教授 (70210672)
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Keywords | コミュニティバス / 協働運営 / プロジェクトマネジメント / ソーシャルキャピタル |
Research Abstract |
本年度は、平成21年に実施した全国158のコミュニティバス運営団体のプロジェクトマネジメント(PM)のアンケート調査結果に基づいて、5つの運営方式(「(1)協働型」「(2)地域参画型1」「(3)地域参画型2」「(4)自治体主導型」「(5)商業型」を住民が参画しているグループ1((1)(2)(3))と、住民参画が少ないグループ2((4)(5))に分け、PMの実施の程度を説明変数にした数量化理論第II類による分析を行なった。その結果、相関比=0.52、判別的中率=83.4%であり、カテゴリースコアと偏相関係数から、グループ1に関して、計画策定から運行に関わる「タイムマネジメント」専門家、関係者の役割分担、コーディネーターの存在等の人的資源に関わる「調達マネジメント」の実施と関連していることが確認された。 また、158団体から21団体を選び、運行関係者と利用者に対してソーシャルキャピタル(SC)指標(信頼、ネットワーク、規範)についての運行開始前後の変化を5段階評価(5,4,3,2,1)で問うアンケートを実施した。そして、運行関係者(210人)と利用者(425人)別に5つの運営型毎に平均値を求め、これらを標準化した。ついで、c)近所つきあいの程度とe-1)地縁的な活動への参加の標準化値の平均値を「結合型(Bonding)指数」、d)友人・知人とのつきあいの頻度とe-2)ボランティア・NPO・市民活動への参加の標準化値の平均値を「橋渡し型(Bridging)指数」として、5つの運営方式の特徴を検討した。その結果、運行関係者と利用者ともに両指数に正の相関が認められ、指数は、運行関係者では「(1)協働型」が一番高く、利用者では「(3)地域参画型2」が高い結果が得られた。 以上の分析結果は、住民が参画してコミュニティバスを計画・運行することが地域のソーシャルキャピタルの醸成に繋がることを示唆していると判断される。
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