2009 Fiscal Year Annual Research Report
脱窒とメタン生成の複機能を有するグラニュールを用いた排水処理プロセスの創生
Project/Area Number |
20560501
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡邉 智秀 Gunma University, 大学院・工学研究科, 教授 (60251120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 司 群馬大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80431708)
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Keywords | 脱窒 / 嫌気性グラニュール / メタン発酵 / 高濃度有機性排水 / 複合微生物系 / 廃水処理 |
Research Abstract |
前年度に馴致から開始した複機能グラニュール充填槽へ有機物と硝酸性窒素を通水して連続処理実験を継続して実施し、操作条件影響を検討した。その結果、流入N/CODが0.2以下で流入負荷が20kg-COD/(m^3・d)(流入硝酸性窒素負荷は4kg-N/(m^3・d))までの操作条件で、安定的な除去率90%以上の有機物除去ならびに脱窒を単一槽で達成できた。このとき、有機物除去に対し、脱窒に伴う有機物の酸化分解のみならず、メタン生成もN/COD比に応じて寄与した。また、実験開始からの時間経過や流入負荷の増大に伴い、グラニュールは、人工排水の主有機成分であるグルコースに比べて酢酸を炭素源とした比脱窒活性が大きくなることがわかった。 一方、約1年にわたり運転を継続している連続実験装置から採取したグラニュールにnirSとnirK機能遺伝子を対象とした系統解析を行ったところ、酢酸資化性脱窒細菌のThauera属およびAlcaligenes属が高頻度に検出され、さらにグラニュールの薄切片をFISH法で観察すると、これらの細菌がグラニュール表層から約15μmより深部に多数見受けられることがわかった。また、古細菌の16SrRNA遺伝子を対象とした系統解析では酢酸資化性のMethanosaetaが多数検出され、さらにグラニュール薄切片にFISH法を適用したところ、上記の酢酸資化性脱窒細菌の存在領域と一部重なりを持ちながらその深部領域に多数存在する傾向が観察された。従って、グラニュール表層で有機物の分解により酸生成細菌が産生した酢酸はThauera属やAlcaligenes属を主とする脱窒細菌とMethanosaetaとの間で競合することになるが、脱窒が進行することで硝酸性窒素のグラニュール深部への浸入が妨げられ、メタン生成が可能な環境も維持されていると推察された。
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Research Products
(5 results)