2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560504
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
木曽 祥秋 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20144206)
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Keywords | 富栄養化 / リン / 超高感度分析 / オンライン固相抽出 / 検出限界 / ダイナミックレンジ |
Research Abstract |
環境水中のリンの挙動解明やリン除去技術開発において、リン酸イオンを超高感度で測定することが重要である。本研究における課題は簡易な超高感度測定法の開発であり、その方法としてオンライン固相抽出法の開発を行った。本研究では、リン酸イオンから生成したモリブデンブルーに4級アンモニウムイオンを添加してイオン対を形成し、このイオン対をODSカラムで捕捉濃縮し、有機溶媒で脱着して紫外可視吸光度検出器で定量する方法を開発した。 本法において、検出感度を向上させるためには、イオン対を含む溶液の供給量に加えて、ブランク値の低減と安定化が重要である。反応試薬条件、イオン対形成反応条件、ODSカラムによる捕捉とカラム洗浄条件、イオン角溶離条件の最適化を行った結果、検出限界として0.1μg-PO_4/Lを達成することができた。この検出限界は、現在まで報告されている最高の検出限界に相当している。本法における定量範囲の上限は、200μg-PO_4/Lであり、測定のダイナミックレンジは極めて広いことが特長として指摘できる。既存のFIAによる自動分析装置によって海水中のリンを測定する場合、試料の塩分濃度が高いことによる屈折率の影響のため、専用の標準溶液を調整する必要がある。しかしながら、本法では3.5%のNaCl溶液においても、全く妨害が認められず、海水試料についても共通の検量線を使用できることが明らかとなり、多様な試料を同時に測定できることが示された。 本研究において開発した高感度リン酸イオン測定法を用いて、河川上流部にあるダム湖の水質を測定した。これら試料のリン酸イオン濃度は1μg-PO_4/L付近で、FIAによる自動分析装置の定量限界値付近であったが、本法測定によって高い精度で測定することができた。
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