2010 Fiscal Year Annual Research Report
水中の砒素・鉄・マンガン反応吸着過程のリアルタイム観測による除去装置運転最適化
Project/Area Number |
20560506
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤川 陽子 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (90178145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 正孝 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (60026119)
濱崎 竜英 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (50340617)
八島 浩 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (40378972)
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Keywords | 鉄バクテリア / 砒素 / 地下水 / 除去 / XAFS |
Research Abstract |
我々は鉄・砒素・マンガン・アンモニア同時除去の鉄バクテリア法(以下、鉄バク法)のパイロット試験を中心にした技術開発を国内で実施すると共に高輝度光科学研究センターの放射光施設SPring8におけるXAFS (X-ray absorption fine structure)測定により同法の原理解明に取り組んできた。本法では地下水を生物ろ材に連続通水し、原水中の鉄・マンガン・アンモニアの生物酸化、鉄・マンガン酸化物の菌体上への蓄積、連続的に生成する鉄酸化物等への砒素の吸着を同時並行的に行わせる。さて、地下水中では砒素は3価砒素(亜砒酸、以下As3)の形態をとることが多い。鉄バク法の利点は、塩素剤などにより砒素を5価にする前酸化工程なしにAs3を除去できることで、その機構として、鉄バクの作る酸化鉄がAs3を迅速に直接吸着できるためと考えてきた。今回の研究では、特に上述の点を証明するため、XAFS測定を、現場で用いられている鉄バク法水処理と同様の原水水質(2価溶解鉄とAs3を同時に含有)ならびに流速(100m/day超)の条件下で適用した。 鉄除去のため鉄バク法で稼働している吹田市片山浄水場のろ過池および京都府向日市下の著者らのパイロット試験のろ過塔からえた。X線透過窓(25μm厚のカプトンフィルム)を持つ耐圧の特製カラムを設計、製作し、ろ材を充てんして鉄(4-40mg/L)とAs3(4mg/L)を含む液を線速度220m/dayにて通液しながらXAFSスペクトルを観測した。 向日市のろ材はもともと砒素が含まれるため、当初のスペクトルを基準とした差スペクトルで解析を行った。 片山浄水場のろ材では通液開始7分後は、大部分が溶液中のAs3のスペクトルと推定されるが、27分後にはAs3のスペクトル強度が大きく増加するとともに若干ながらAs5のピークが検出されている。その後、時間と共に、As3のピークが増加していくが、As5のピークも増加していき、66分後の測定ではAs5とAs3が同程度のピーク高さとなった。一方向日市のろ材では、ピーク強度の増加画分はほとんどAs3であった。
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Research Products
(12 results)