2008 Fiscal Year Annual Research Report
改良型嫌気性消化法による汚泥中リンおよび重金属の除去・回収に関する実証研究
Project/Area Number |
20560510
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
高島 正信 Fukui University of Technology, 工学部, 教授 (30257498)
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Keywords | 環境技術 / 廃棄物再資源化 / バイオマス |
Research Abstract |
本研究は、酸加熱-後処理を組み合わせた改良型嫌気性消化法を下水汚泥に適用し、固形物の分解およびメタンガスの生成を改善させながら、酸加熱処理液から高濃度に溶出するリンおよび重金属を除去・回収しようと試みるものである。リンあるいは重金属が十分に除去された汚泥は、セメント原料や肥料として付加価値が高くなる。同時に、リンと一部重金属は枯渇が心配されており、その回収・再利用に役立てることができる。最終的な研究目的としては、提案した新規の下水処理システムが、安定かつ十分に有機物、窒素およびリンを下水から同時除去しながら極力汚泥の発生を抑制し、メタン回収量を増し、そしてリンあるいは重金属も回収できることを、実下水を用いたベンチスケール実験によって実証することである。 平成20年度は、酸加熱-後処理を組み込んだ二段嫌気性消化法の嫌気性消化性(固形物分解、メタン発生、汚泥脱水性)とリン溶出への効果・影響を水処理系も含めた下水処理システム全体で検討した。また、溶出したリンをリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)法を適用することによって、下水汚泥からのリン回収も試みた。実験の結果、SS65%、VSS75%という高い固形物減少率が得られた。メタン発生量と汚泥脱水性については、硫酸塩還元の影響もあって向上が見られなかった。加熱処理による着色は、脱離液の色度が流入汚泥の約1.5倍の増加にとどまり(返流負荷量としては処理水の約3%に相当)、水処理系への影響はわずかであると考えられた。リンについては流入汚泥の43%、脱離液中の62%が回収され、本法の有効性が実証された。
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