2010 Fiscal Year Annual Research Report
改良型嫌気性消化法による汚泥中リンおよび重金属の除去・回収に関する実証研究
Project/Area Number |
20560510
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
高島 正信 福井工業大学, 工学部, 教授 (30257498)
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Keywords | 嫌気性消化 / 下水汚泥 / 加熱処理 / リン溶出 / 脱水性 |
Research Abstract |
本研究は、加熱処理を組み合わせた改良型嫌気性消化法を下水汚泥に適用し、固形物の分解およびメタンガスの生成を改善させながら、加熱処理液から高濃度に溶出するリンおよび重金属を除去・回収しようと試みるものである。リンあるいは重金属が十分に除去された汚泥は、セメント原料や肥料として付加価値が高くなる。同時に、リンと一部重金属は枯渇が心配されており、その回収・再利用に役立てることができる。 まず、酸加熱-後処理方式において加熱処理温度を150℃に下げたところ、VTS減少率70.8%、VSS減少率73.5%という、通常の嫌気性消化法よりも相当高い固形物減少率が得られた。また、酸加熱処理によって色度の生成が見られたものの、加熱処理温度が170℃であった2年前の結果の半分以下の濃度であった。 次に、酸加熱処理された汚泥を直接脱水する酸加熱-後処理-直接脱水方式(加熱処理温度170℃)を実施したところ、加熱処理汚泥の脱水性として1.4秒-CST/g/L-SSが得られ、また、簡易遠心試験による脱水ケーキ含水率は約79%まで低下した。この結果から、本方式は無薬注脱水が可能な方式であると考えられた。 酸加熱-後処理方式においては酸として硫酸を用いたが、消化汚泥からのリン酸溶出が増大することが実証された。これは、昨年までと同様に、リン酸鉄が硫酸塩還元で生成した硫化水素と化学的に反応することによって生じると推測された。
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