Research Abstract |
昨年度は,活性炭繊維フェルト電極を用いた臭素酸の処理実験を実施し,臭素酸の臭化物イオンへの電解還元無害化を達成した。しかし,観測された電流効率は8.7%であり,電流効率改善が課題として残った。 本年度は,昨年度の結果を踏まえ,サイクリックボルタンメトリーによる電極材料評価を行い,触媒活性が優れていると判断された電極材料について,臭素酸イオンを対象に電解処理実験を行って,その電解還元特性を評価した。 検討した電極材料は,ステンレス(SUS304),真鍮,ニッケル,チタン,銅,鉛,ホウ素添加ダイヤモンド,鉄,白金,グラファイトカーボンである。サイクリックボルタンメトリーの結果,真鍮については-0.21V vs.Ag/AgCl,銅については-0.13V vs.Ag/AgCl付近で臭素酸の還元ピークが認められた。また,チタンについても水の電解還元電圧以上で弱い還元ピークが認められ,ホウ素添加ダイヤモンド電極では-0.4V vs.Ag/AgCl以上で複雑な還元ピークが認められた。そこで,これら4つの電極材料について,臭素酸の電解還元処理実験を実施した。 臭素酸の電解還元処理の結果,全ての電極において臭素酸の電解還元とそれに伴う臭化物イオンの生成が認められた。電流効率は,真鍮で11.4%,銅で12.2%,チタンで11.0%,ホウ素添加ダイヤモンド電極で6.0%であった。真鍮,銅,チタン電極は昨年度用いた活性炭繊維フェルト電極よりも高い電流効率を達成しており,電極材料として有望であると判断された。本年度の処理実験には,三次元電極ではなく,通常の板状電極を用いており,電極と臭素酸イオンの接触効率が低い条件での結果であることも考慮すれば,三次元電極として装置化することにより更なる電流効率向上が期待できると考えられた。
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