Research Abstract |
昨年度までに,種々の電極材料についてその電気化学特性を評価し,臭素酸イオンの電解還元に適した電極材料を選定した。そこで,平成22年度は,塩素酸イオンの電解還元に適した電極材料の選定を行うとともに,臭素酸イオンを処理対象とした連続式電解還元処理装置を試作し,臭素酸イオンの電解還元に有効と判断された銅電極を用いて臭素酸イオン電解還元処理機能に及ぼす環境因子や制御因子の影響を評価した。 塩素酸イオンを電解還元可能な電極材料として,真鍮,ニッケル,チタン,銅,ステンレス(SUS304),鉛,鉄電極をサイクリックボルタンメトリーで検討した結果,臭素酸イオンと同じく銅電極が最も適していると判断された。 そこで,銅電極を用いた連続式電解還元処理装置を試作した。装置はカソードに銅メッシュを積層した三次元電極(面積0.142m^2)を,アノードにステンレスメッシュを積層した三次元電極を具え,両極間に陽イオン交換膜(Nafion NE-1110)を挟んだ二室型フローセルである。これに臭素酸イオン10mg/Lを含む人工溶液を流入させ,臭素酸イオンの処理を行った。その結果,pH調整を行うことなく,臭素酸イオンの処理が可能であり,電解電流が低い条件(0.03A以下)において電流効率7%程度を達成できた。一方,溶液の流速は電流効率にはあまり影響しなかった。 これらの結果を踏まえ,100μg/Lとなるように臭素酸イオンを添加した水道水を対象に,処理実験を実施した。その結果,臭素酸イオンの還元除去は臭素酸イオン濃度の擬一次反応で表され,461秒の電解室滞留時間で水道水質基準である10μg/Lを達成できると評価された。従来の活性炭処理法では数時間の処理時間が必要とされており,本手法により,活性炭処理法よりも遥かに短時間で水道水中の臭素酸除去が可能であることが示された。
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