2008 Fiscal Year Annual Research Report
スリップ型復元力特性をもつ構造への制振技術の適用とその簡易設計法に関する研究
Project/Area Number |
20560515
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大木 洋司 Tokyo Institute of Technology, 応用セラミックス研究所, 助教 (20323842)
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Keywords | 制振構造 / ダンパー / 粘弾性体 / 応答評価法 / 制振設計法 |
Research Abstract |
粘弾性ダンパーを用いた制振構造の応答予測法・設計法の開発を行った。 本研究では、研究代表者の過去の研究実績であるイソブチレン・スチレン系粘弾性ダンパーを用いた制振構造を主に取り扱っている。この材料はしばしば取り扱われる線形材料と異なり、振幅依存性、すなわち振幅に関する非線形性がある。そこでまず、ダンパーを適用する主架構が線形の場合を想定して等価線形化に基づく応答評価法を提案した。この方法では、制振構造の1次モードでの定常応答状態を仮定して、粘弾性ダンパー最大変形時のダンパー履歴の剛性・粘性を算定し、それをもってダンパーを線形なKelvin体にモデル化することで、制振構造を等価線形化している。本手法の精度検証のため、一質点系を対称に、周期、ダンパー剛性、ダンパー支持部材剛性、粘弾性体の歪、入力地震動を解析パラメータとして、時刻歴解析との精度比較を行い、実用上問題ないと考えられる精度をもつことを確認した。 その上で、主架構の復元力特性がスリップ型となる場合について、応答予測手法も検討した。これも基本は、上記の等価線形化法と同じである。一質点系を対象に、主架構を想定したスリップ型の復元力とダンパーを想定した粘弾性の復元力を組み合わせ、周期、減衰、復元力の形状、入力地震動、塑性率をパラメータに等価線形化法の精度を時刻歴解析と比較した。結果、提案手法は良好な精度を示すことがわかった。同時に、これまでしばしば用いられたエネルギー一定則についても、その予測にそれほど精度がないこと(相当に安全側の評価となる)も示した。
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