2010 Fiscal Year Annual Research Report
途上国における開口付きメーソンリー壁体の耐震性向上
Project/Area Number |
20560527
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
黒木 正幸 大分大学, 工学部, 助教 (10295165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 健児 大分大学, 工学部, 教授 (50117397)
野中 嗣子 大分大学, 工学部, 助手 (50274741)
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Keywords | 建築構造・材料 / 国際貢献 / 自然災害 / 耐震 / 防災 |
Research Abstract |
本研究は,開口を有する枠組組積造壁体の地震時挙動を実験により明らかにし,ローコストで耐震的に有効な補強法を開発することを目的としている。研究期間の最終年度にあたる本年度は,これまで実験的検討を行ってきた窓型開口部周辺をRC造の枠材で補強した場合の効果について整理・分析し,その結果を国内外に公表した。得られた主な研究成果は次のとおりである。 1.窓型開口部周辺をRC造の枠材で補強すれば,無開口の壁体をも上回るせん断強度を与えることができる。 2.偏在開口の場合は,中央開口の場合よりも補強効果が小さくなる。 3.補強壁体のせん断終局強度は,アーチ機構を仮定することによりRC造枠材が計算上引張降伏しない範囲では概ね良好に算定できる。一方,RC造枠材が引張降伏する範囲では算定結果が過大となることが今後の課題として残される。 さらに,開口形状が通路型の場合を対象とし,壁体の中央に開口を有する2体の試験体を製作し水平加力実験を行った。その結果,通路型開口においても,開口部周辺をRC造の枠材で補強することにより無開口の壁体をも上回るせん断強度を示すことを確認した。これは,開口位置の影響,RC造枠材の配置方法等の影響について今後更に検討を追加すれば,有効な補強法として提案できる可能性を示唆している。 以上のように,途上国で広く用いられている枠組組積造壁体の耐震化に関して,実用的な開口部補強法を提案する上で有益な知見を得ることができた。
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