2010 Fiscal Year Annual Research Report
中低層弾塑性構造物の最大地震応答と相関の高い地震動強さの指標に関する研究
Project/Area Number |
20560528
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松村 和雄 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (50038014)
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Keywords | 弾塑性構造物 / 地震動の強さ / 力積 / 時刻歴応答解析 / 最大地震応答 / 塑性率 |
Research Abstract |
地震動を受ける構造物の最大応答は構造設計の基本となる指標であるため重要である。最大応答は複雑な地震動波形に依存するためにそれを簡単な指標で推定する方法がない。しかし、応答波形は固有周期との共振によりサイン波に近い性状を示すので、地震動をパルスの連続と見なしてそのパルスの時間積分である力積という簡単な指標で最大応答を適切に推定することが本研究の目的である。 代表的な12個の地震動について、力積と最大応答それぞれ大きい方から10個の値を取り出してパルスの形状や最大応答になる直前にあるパルスとの関係を調べた。加速度応答スペクトルが一定になる固有周期が0.4秒以下では最大力積の直後に最大応答になるとは限らないが最大力積から最大応答がほぼ推定できることが判った。一方、速度応答スペクトルが一定となる固有周期が0.6秒以上では最大力積による応答が大きいのであるが最大力積から推定した応答は最大応答より8割から6割程度となることが判った。この要因は最大パルス以前の応答が加算されているためと思われるがそれを補正する有効な方法は検討中であるが見いだせていない。 弾塑性多自由度系について基準化する指標による塑性率のばらつきを調べた。地動最大加速度、地動最大速度、最大力積で基準化した120個の地震動を用いて調べた結果、最大力積で基準化した場合のばらつきが他の指標の場合よりも小さいことが判り、最大力積を用いる有効性が明らかになった。
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