Research Abstract |
本研究は,直交部材が偏心して接合する鉄筋コンクリート造(RC)外柱の柱・梁接合部,特に直交梁が接合しない部分のせん断挙動を明らかにし,構造性能評価(せん断設計)手法の提案を目的としている。 昨年度は,一般的な鉄筋コンクリート造外柱における,柱・梁接合部区間のせん断挙動を明らかにすることを目的とした柱部材実験を実施し,直交梁の偏心位置および面内梁の接合状況(圧縮側・引張側)により,RC造外柱(接合区間および部材)の構造性能が変化することを示した。 本年度は,昨年度の成果を受け,せん断設計手法構築の資料を得るため,柱・梁接合区間のせん断補強手法を検討すること,また,面内梁主筋量が接合区間のせん断挙動に及ぼす影響を明らかにするための実験を実施した。具体的に,試験体は,平成20年度と同様に外柱を模擬して,同一構面の梁と直交梁が接合した形状とした。試験体形状は,実大の約1/2の大きさとし,柱断面を300×300mm,同一架構内の梁断面を200×300mm,直交梁の断面を150×300mmに設定した。また,変動要因は,(1)接合区間内せん断補強筋量(2)構面内梁主筋量とし,これらの要因を組み合わせて試験体を計画した。加力は,地震力を模擬した正負交番繰り返し載荷を行った。 実験より,接合区間の集中補強筋は,せん断破壊を防止することに有効であること,また,面内梁主筋量の差異により,接合区間のせん断抵抗の限界値に差が生じることを示した。 最終年度となる次年度は,本年度までの実験成果を引き続き分析し,解析手法を併用して接合区間のせん断抵抗機構・補強効果について検討して設計法の確立を目指す。
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