2008 Fiscal Year Annual Research Report
統計的グリーン関数法による水平・上下動評価法の構築
Project/Area Number |
20560544
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Research Institution | Research Institute of Shimizu Construction Co. |
Principal Investigator |
佐藤 智美 Research Institute of Shimizu Construction Co., 原子力施設技術センター, 主任研究員 (00393562)
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Keywords | 上下動 / 統計的グリーン関数 / 距離減衰式 / 永久変位 / 逆断層 / 横ずれ断層 / P波 |
Research Abstract |
近年、原子力発電所や免震構造物の上下動に対する耐震安全性が要求されるようになっている。しかし、統計的グリーン関数法で上下動を精度良く評価する手法が確立していない。そこで、昨年度、本研究では、研究代表者が提案している近地項と中間項を考慮した三成分統計的グリーン関数の生成手法の高度化を行い、Mw4.9の縦ずれ断層を想定した波数積分法による理論波形との比較により手法の妥当性を検証した。高度化手法では、因果的FFT解析手法を導入し、0Hz以外の成分から0Hzにおける変位(永久変位)も計算可能となっている。その結果、提案手法で生成された統計的グリーン関数は、永久変位も含め、波数積分法による理論波形をほぼ再現できることがわかった。また、従来の近地項と中間項を考慮していない統計的グリーン関数は、特に、震源近傍のRadial成分や上下成分で過小評価となる場合が多いことを示した。 また、経験的手法による上下動評価の高度化のため、地殻内地震の記録を用いて、P波部、S波部、全継続時間の三成分の地震動強さの距離減衰式構築を行なった。その結果、P波部・S波部・全継続時間とも、逆断層・斜めずれ断層が横ずれ断層より、短周期の励起が1.2倍程度大きい特徴がある距離減衰式が得られた。P波部の距離減衰式については、工学的基盤での最大加速度が、遠方では3成分が近づく特徴があった。S波部・全継続時間の最大速度の距離減衰式は、横ずれ断層ではTransverse成分がRadial成分より1.2倍程度大きい特徴がみられた。また、S波部・全継続時間の最大加速度と0.5秒程度以下の短周期領域での応答スペクトルの距離減衰式は、規模の大きい逆断層・斜めずれ断層の近距離で、主に日本のデータに基づく既往の距離減衰式より明らかに大きいことがわかった。
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