2009 Fiscal Year Annual Research Report
現代ストレス社会における都市勤労者のレクレーション生活構造
Project/Area Number |
20560562
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 雪彦 Chiba University, 園芸学研究科, 准教授 (80334481)
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Keywords | レクレーション / 生活構造 / ストレス |
Research Abstract |
現代の日本社会は、グローバル化に対応した市場原理を重視した政策の影響を受けて、競争やその結果としての格差が顕在化して、自殺者は全国で年間3万人を超え、勤労者の数%が精神疾患の可能性があるとの報告もあり、ストレスが大きな社会問題となっている。 こうした中で、仕事で精神的エネルギーを消耗した勤労者にとって、これを回復するレクレーション活動は益々重要な位置を占めてきており、レク生活の全体像を検証し、レク政策やレク空間整備を推進する必要がある。 初年度は、主として、先進的レクレーション生活を過ごしていると仮定できるグリーンツーリストに対するヒアリング調査を福島県裏磐梯地域、千葉県君津市貞元地域において実施した。また、同時に、千葉県松戸市、東京都小金井市の観光ボランティアにもヒアリング調査を実施した。結果の概要としては労働や生活で失った時間感覚を取り戻すこと、同じ新しい人間関係を再構築することがてレク生活の内容として重要であるということである。すなわち、現代社会における時間に追われる生活、また人間関係より業務内容を求められる生き方によって失われたものを回復する行為としてレク生活の重要性が再認識されつつある。また自己表現が抑圧された労働・生活環境の反動から自己表現の場としてこうした消費するだけでないレク生活が存在することが確認された。現代レクレーションの質的変化を捉えることができたので、こうした知見を昨年度の調査項目に反映することとした。昨年度は、より定量的なアンケート調査を実施するために千葉県君津市の貞元地域まちづくり推進委員会において、アンケート調査を実施し、その生活構造を労働時間や職種といった視点から分析を行った。すなわち、就業構造という条件によりレク生活構造がどのように変化するかという相関を見た。なおアンケート実施に伴っては、貞元地域まちづくり推進協議会と連携を取りながら、個人情報の取り扱い等について協議を重ねることで、できるだけ地域の人々の理解を得て有効回答率を挙げることを目標とした。また、それに併せて、地域理解を深め、地域のレクレーション資源を発掘するために、住民とともに環境点検ワークショップを実施し、地域づくりに関わった。個人情報保護が厳しくなっている昨今においては、地域の調査協力が得られるかどうかはこの種の調査では死活問題であるためである。
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