2008 Fiscal Year Annual Research Report
小児療養環境における不安軽減を目指した環境デザインに関する研究
Project/Area Number |
20560579
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 賢一 Nagoya City University, 芸術工学研究科, 教授 (00242842)
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Keywords | 子どもの療養環境 / 病院建築 / 小児病棟 |
Research Abstract |
病院における子どもと家族の不安軽減を目指した療養環境デザインのあり方について指針を得るために、小児病棟、未熟児新生児病棟などにおいて先進的取り組みを実践している8病院を視察し、関係者からのヒアリングを行い、現場における実態を把握した。調査内容は、不安解消のための環境整備の手法、環境整備の体制、維持管理の方法等である。環境整備の場所及び手法として、いずれの病院においてもプレイルーム及び処置室、病棟廊下における壁面及び天井面のペインティングあるいは立体物の取り付けが行われている。環境整備の主体としては、病院の方針により、医療スタッフ、保育士、建築設計者、アーティストもしくはデザイナー、デザイン系の学生等さまざまである。主体の違いにより、環境整備の貝的と内容に違いがあり、結果的に期待される効果も異なると推測される。中には、小児患者や家族参加型の整備手法を採用するケースもあり注目される。ただし、病院全体で取り組む場合に比べ、病棟レベルでの企画にとどまる場合では予算や継続性の面で不安定要素が大きいことがわかった。維持管理の方法としては、初期段階で恒久的整備を行いメンテナンスフリーとする場合、所属スタッフにより季節毎に模様替えをする場合、専属あるいはボランティアにより週単位程度で模様替えをする場合など、頻度や体制に大きな違いが見られた。なお、これらの現地詳細調査により患者や家族だけではなく、医療スタッフサイドにおいても、療養環境整備の積極的な関与のあり方が効果を高める可能性を把握することができ、環境整備の方向性に示唆を得ることができた。
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