2009 Fiscal Year Annual Research Report
小児療養環境における不安軽減を目指した環境デザインに関する研究
Project/Area Number |
20560579
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 賢一 Nagoya City University, 大学院・芸術工学研究科, 教授 (00242842)
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Keywords | 子どもの療養環境 / 病院建築 / 小児病棟 |
Research Abstract |
本研究は、病院における小児患者と家族の不安緩和を目指した療養環境デザインに関する研究である。本年度は、病棟における患者と家族の不安解消のための病院環境整備に関する実態を把握すること、及び病棟利用者が病棟環境に対してどのような印象を有しているかを明らかにすることを目的とした。 前者に関連しては、東海4県下の300床以上の総合病院の小児関連病棟を対象として、環境整備の手法、環境整備の主体、整備の予算、維持管理に関する方法についての実態を郵送による質問票にて尋ねた。これらより、環境整備に関連する組織、財源などが十分整備されていないことがはっきりした。多くの病院ではヽ環境整備の必要性を認識しているにもかかわらず、制度面での整備がなされておらず、現場職員の自主性に任されている状況が見られる。 一方、名古屋市内の中核病院において、病棟の患者、付添い、看護師が病棟環境に対して抱く印象を、キャプション評価法を用いてデータ収集した。調査協力者に対して、使い捨てカメラによる病棟環境の写真撮影を依頼すると同時に、撮影箇所に対する印象(肯定的または否定的)を求めた。入院生活において重要なトイレ、浴室、洗面所などの生活スペースに対するキャプションが多く、同時に不安をやわらげる環境整備を求める声が強い。 患者や付添いが不安を抱く病棟環境を改善する必要性が認められ、安心できる雰囲気づくりのためのユーザーに配慮したデザイン需要に対応する体制づくりが求められる。
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