2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本とスウェーデンの高齢過疎地域におけるコンパクトで持続可能な福祉住環境再編整備
Project/Area Number |
20560583
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
田中 千歳 国士舘大学, 理工学部, 教授 (30346332)
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Keywords | スウェーデン / 高齢過疎地域 / コンパクト / 持続可能 / 福祉住環境 / 再編整備 / 子ども |
Research Abstract |
1. 目的:本研究は、わが国の少子高齢化・人口減少化の動向に立ち向かい、少子高齢過疎地域における住環境構造を持続可能なものに再編・再生するためのコンパクトな福祉住環境システムのあり方について検討するものである。本年度は、これまでの研究成果を踏まえ、子どもの福祉住環境システムに関する各種調査及びその分析を主眼に、また熊本県相良村とスウェーデンアルベスタ町両者におけるフォローアップ調査、並びに総合検討を行った。2. 結果:(1)日本の保育所(新潟県長岡市、東京都世田谷区)のヒアリング調査では、最も重要な保育増進要素は保育施設全体や居室の広さ等のハード面であり、また屋内外両面の安全性を徹底するため、運営面での管理に重点を置いていた。(2)スウェーデンの場合は地方分権が確立しているため、子どもの福祉住環境についても地域によって異なる。しかしながら、地方都市アルベスタや首都ストックホルムに代表されるように、農村部も都市部も量的な保育環境が満たされている現在、子どもの個人の尊重や自己決定に重きを置き、ハード面よりも保育士の質の向上を重要視していた。(3)社会的背景や国民性も大きく異なるものの、日本の保育環境においても、スウェーデンのようなハード面の量と質を保証し、また両者を活用して展開できる保育士の質等ソフト面の仕組みとその充足にも重点を置くことで、子どもの住環境を総合的に支援することが期待できる。同時に、農村等の地域特性を鑑み、合わせて検討することが重要である。(4)この意味では、熊本県相良村等の高齢過疎地域は、今後、地域特性や小規模な町ならではメリットをまちづくりのシステムに再編再構築することが重要である。(5)誰もが住み続けられる住環境システムには、多岐に渡る学際的な分野の連携と共働、実際的な実践には多次元の視点も必要である。
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