2008 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設の物理的環境と子供の発達に関する環境行動研究
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20560584
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
橘 弘志 Jissen Women's University, 生活科学部, 準教授 (70277797)
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Keywords | 児童福祉 / 居住施設 / 児童養護施設 / 物理的環境 / 環境行動研究 / 心理的発達 / 生活の質 / 個室ユニット |
Research Abstract |
本究は、児童養護施設を対象にして、環境の果たす役割を見出し、建築計画論に結びつける知見を見出すことを目的とする。小舎制を実施している中でも、先駆的な取り組みを行っている複数の施設を対象に調査を行い、ヒアリングや現地調査を重ねることから、環境と子供の生活との関わりを環境行動研究としての視点から丁寧に明らかにしていく。施設ごとに、建築そのものの物理的環境の違いだけでなく、生活プログラムの組み立て方やグルーピング、子供たちの役割分担など、施設の方針(社会規範的環境)に違いがあるものを比較することによって、その複合的な環境が児童の生活やスタッフの関わり方等にもたらす影響を捉えようとするものである。さらに、3年間にわたる継続的な調査を行うことによって、子供の生活を長期的に追跡し、子供の発達のプロセスに環境がもたらす影響についても捉えていこうとするものである。 本年は最初の年ということもあり、まずは複数の児童を対象とした居住施設を視察した。物理的環境の実態を把握するとともに、施設運営者に対するヒアリングを実施した。そこで、施設ごとの運営方針、児童に対する養育理念、物理的環境に対する考え方などについて、その違いを把握した。児童養護施設の入居児童は、いずれも成人後に退所して生活することになり、それまでに、社会の中で協調しながら自分の役割を見出し果たすための能力を身につけさせるか、他者に頼らずに個人として自立した生活を行うことのできる能力を身につけさせるか、という考え方の違いが、スタッフの関わり方や施設全体方針に影響を与えており、施設の物理的環境との整合性が子供の生活の質に強く影響することが認められた。 また我が国における児童養護施設の全体像を捉えるため、全施設を対象としたアンケート調査を行うべく、調査票の作成に着手した。調査は平成21年度の早い時期に実施予定である。
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Research Products
(2 results)