2009 Fiscal Year Annual Research Report
別荘地から定住地に転換したシニアタウンにおける高齢者の居住環境の再編に関する研究
Project/Area Number |
20560586
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
竹田 喜美子 Showa Women's University, 生活機構研究科, 教授 (10163403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
番場 美恵子 昭和女子大学, 短期大学部・文化創造学科, 講師 (40384630)
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Keywords | 都市計画・建築計画 / 住宅計画 / シニアタウン / 高齢者 / 別荘地 / 定住者 |
Research Abstract |
2009年は、90有余年の歴史をもつ長野県軽井沢町にあるS別荘地を対象に、定住した高齢者の居住スタイルや居住ネットワークを分析し、居住システムを検証することにより、高齢者の居住継続を保障し、自立生活を可能にする居住環境に再編するための条件を究明することを研究目的とする。S別荘地は、総面積600万m^2の広大な丘陵地に戸建住宅地として5200区画が造成され、調査時点でおよそ3,300戸の住宅が建てられているが、今回の調査の中心のN区には、1,600戸の住宅が建ち、そのうち109戸が定住である。60歳以上の定住者を対象に51戸の訪問調査を実施した。調査時期は2009年9月である。明治の頃から外国人によって開発された避暑地軽井沢には、スポーツや芸術などに集約される独自の軽井沢文化が蓄積されている。居住スタイルは、夫婦を中心とした高齢者独自の住まい方と夫婦関係をみる。夫婦関係をみると、「付かず離れず」の協力自立が目立ち、食事や団らんは一緒、家事も協力するが、趣味活動やボランタリー活動には個別で参加する。居住ネットワークを親子関係と地域関係からみる。親子関係も協力自立が最も多く、子どもに依存せず自立しながら、連絡頻度は密で深い交流を図っている。地域交流をみると、夏に開催される区の公民館のイベントが定住者と別荘利用者の交流のきっかけになる。そこから、趣味活動やボランタリー活動に発展し、地域のコミュニティが緊密になる。居住システムをみると、立地環境として自然には恵まれているが、生活施設は不備である。管理環境としては、建物管理は管理会社がサポートするが、生活管理や交流管理は全面的に居住者に委託されている。高齢者の居住継続を保障するには、管理会社もソフト面のサポートを積極的に実施する必要があろう。定住者のみならず、別荘利用者、地元住民、管理会社、自治体が協力しながら軽井沢固有の文化をさらに進化させていくことが課題である。
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